
2 調査結果
(1) 部員の練習に対する興味・関心について(紀要62頁) 柔道部の生徒に「スポーツは好きですか」という質問に対し、かなりの生徒が「好きだ」と答えています。しかし、柔道部員でありながら「柔道は好きですか」という質問に対しては、「あまり好きではない」というのが、図1から分かります。さらに、図2「柔道は他のスポーツに比べて楽しいですか」という質問に対しても同様の結果が出ています。これらのことを、生徒の体格別に見たのが図3です。ここから初期の段階では、からだが大きいかどうかによって柔道が好きかどうかというのが決まってくるように思われます。つまり体格差が柔道の好き嫌いにつながってくると思われます。また、柔道の楽しさは、図4・5から分かるように、やはり相手に勝ったり投げたりするところに楽しさがあり、苦しさはその裏返しであるということがうかがえます。したがって体格差が勝ち負けあるいは投げられたり投げたりするのに大きな影響があるのが分かります。図6「投げられたとき悔しいと思うか」については、「思う」と答えた生徒が多いことからも、小さい生徒が大きい生徒に投げられて、嫌なイメージをもって部活動をしているのではないかと思います。また、柔道というのは武道色の強いスポーツです。したがって伝統的な型どうりの指導がどの学校でも行われています。図7にあげているような項目がその大まかな練習内容です。生徒は格闘形式あるいはゲーム形式の練習を好んでおり、実際の練習は基本練習が多用されているといのが、この図から分かります。実際の練習内容と子どもが好きである練習内容にはかなりの開きがあります。 (2)生涯体育・スポーツとしての「柔道」について では、悪いイメージばかりかというと、図8にみられるように、「柔道を始める以前より健康になったか」という質問に対して、生徒は「健康になった」と答える者が多く、大体の生徒は入ったときひょろひょろでも、3年生になるとがっしりした筋肉になるような生徒が多いです。さらに、図9から分かるように「ストレス解消につながる」と答えた生徒も多くいます。また、「近くに施設がありますか」という質問に対して、「ある」と答えた生徒が多くおり、本県の特徴かも分かりませんが、柔道部のある学校の近くには、スポーツ少年団や町道場といったような施設がある結果だと思われます。しかしながら、図11の「卒業後やってみますか」という質問に対しては、「そうは思わない」と答えた生徒が多い。これは、県下のスポーツ少年団や町道場は、どちらかというと小学校の低学年がやっておって、高校・一般・中学生というのは数がかなり減っているという実態があると思われます。今後生涯スポーツを考えたときに、初期の段階でどういった指導をするかが重要なポイントになると思います。最後に、生徒は柔道を怪我の多いスポーツだと思っています(図12)。実際の数を比べてみますと他のスポーツと変わりないように思いますが、突発的に投げたあと、骨折あるいは脱きゅうといったように生徒に強いイメージを残すせいか、怪我の多いスポーツと、ここでもマイナスのイメージが現れています。 これらのことを考えて、いったいこれから子どもたちにどういった指導が必要であるかということを指導経験豊富な指導者にインタビュー形式で聞いたみたところ、初期段階での練習にゲーム形式の練習を組み入れ、子どもに楽しさを感じさせながら、柔道の向上を図っていくことが、こらから課題になっていくのではないかということを言われました。そこで紀要65頁にあげているようなトレーニング内容を一般の練習内容と組み合わせると効果があるように思われます。(VTR視聴) ?片手片足すもう?頭タッチ鬼ごっこ?寝技30秒試合 ?テープはぎ競争?タイヤハンドル回し?タイヤ鬼ごっこ 3 まとめと課題
生徒は体格の小さいものが苦労しているという実情があります。できるだけ体格別に分けて練習をさせていく、やがて習熟度に伴って体格差のある者と行っていく必要があると思います。そして、今紹介したようなゲーム形式あるいは遊び感覚の練習を少しずつ入れ、子どもに楽し
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